<奴隷 幸子> その12
「いやぁ・・。」
何かを拒むかのようにして、突然、幸子は顔を左右に振った。
黒い髪が揺れる。
「ああぁ・・ぁああぁ・・・。」
幸子の体と心に、何かが変化している。 誰も知らないところで・・・。
「うっ・・・ううぅ・・。」
幸子は体を前に屈ませて、つらそうな声を漏らしている。
自分の体の奥深くに今起きている変化に、必死に抵抗しているのだろうか。
その心の変化が、後ろに縛られている手の指の動きで分かる。
普段は決してみせることのない変化が、縛られているとその手の表情として現れてくるのだ。
言葉に表せない心の変化を、縛られている手が能弁に語ってくれている。
幸子本人はその心の変化を縛られている手が語っているということは、まるで知らない。
本人の意識しない本当の心を、その縛られた手が語るのだ。
麻縄で縛られることは苦しいけど、辛いけど、そんなことはどうでもいいくらいに気持ちいいと・・・・。
体の奥底から快楽がこみ上げてくると・・・。
こんな幸福な気持ちは初めての経験だった。
「あぁぁ・・・。」
体の芯が疼くように気持ちいい。
そのことを縛られている手が、僕に伝えてくれている。
指が動く。
手の平がもがいている。
まるで麻縄の魔力に絡みとられた蝶が、蜘蛛の糸から逃れようとしているかのように・・・・。